2ペンスの希望

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山崎本の「現代藝術」論

友人に一人、山崎正和好きがいる。薦められて、『世界文明史の試み 神話と舞踊』を読んだ。【2011年12月中央公論新社 刊】構えの大きい本だ。(もっとも、大風呂敷とも言える。)五百ページ近い分厚さ。いささか牽強付会なところもあるが、面白かった箇所もある。備忘録的に幾つか記す。

藝術の寿命・賞味期限がどんどん縮小する傾向についての一節から―
小さな美談とその主人公が日々生産されては、翌日には抹消されている。

機械の精密さが飛躍的に高まり、従来の単純反復労働を極限まで肩代わりする時代」、「余暇時間を埋めるホビーとしての手仕事」の増大について―
藝術のホビー化は万人を鑑賞者から素人藝術家に変え、結果として職業藝術家の存続を危うくする恐れもあるが、それへの対処は職業藝術家の自己努力にかかることであり、文明の危機とは無関係の問題だろう。