2ペンスの希望

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嗚呼‥石堂

1月前半は映画ばっかり見ていた。
と言っても、劇場に出掛けたわけではなく、もっぱらDVDだったが。
外国映画は昭和の古いもの中心。いずれもありあまるお金と才能を注ぎ込んだ一級品揃い。日本映画は平成ゼロ年代以降の最近作中心。いずれも手を挙げたのは良いが、その手をどこに収めればよいのか自信なさげな出来損ないが並んでた。 嗚呼‥。
1月後半は本ばっかり読んで過ぎた。
大部なものが多かったが、お下劣なのも読んだ。
石堂淑朗さんの『偏屈老人の銀幕茫々』【2008年3月筑摩書房 刊】
自分の仇名「猿千」の解説に始まり、松竹ヌーヴェルバーグ監督夫人としても有名な女優某を「売り出し損ねの大根女優」と くさしたり、露悪趣味丸出し・ゴシップ満載の言いたい放題。
木下君は才能はあったが教養がない、私は教養はあるが才能がない、へっへへっへ」とのたまった師匠筋の監督:大場秀雄の言葉に「その通りなので返事の仕様がなかった。」とかぶせる石堂。往時の映画を知るファンにはスコブル面白いエピソードが次々に登場して飽きない。
こんなのを読むと、撮影所時代の映画が、お上品な教養文化的産物ではなく、ヤクザで乱暴な物品であったことが良く分かる。 嗚呼‥‥‥。
本の表紙を飾るのは1953年生まれの画家美濃飄吾さんの『花下臨終図Ⅰ』(2001)
これがまた なかなかの味。