2ペンスの希望

映画言論活動中です

Tさん

映画を見に行くのはほとんど一人だ。単独行。別に自慢でなく褒められた話でもない。
むしろ寂しく冴えない話だ。 むろん、男友達や女友達と出掛けたことも数しれない。
カップル、デイト。ただ、その時には映画を見るより別の思惑・目論見があることが多い。映画とは別のドキドキハラハラ。 いくら親しい間柄でも、映画の好みは 大きく 或いは ビミョーに異なる。横に並んでスクリーンに向かっていても、何か落ち着かない。どこか
モゾモゾ。ということで、自ずと単独行になる。それでも、映画館で見知った人に出会うのは面映ゆくも嬉しいものだ。 おっ来てたの、と頬が緩む。
先日の京都文化博物館でのワイダ映画でも、Tさんにばったり会った(もう御一人Sさんにも)。Tさんとの付き合いは50年を超える。最初に出会ったとき当方は青臭い大学生、Tさんは既にD映画社で仕事を始めておられた。映画界の先輩。
公私ともに付き合って半世紀。同じ映画を褒めたり貶したりする仲。映画の好みも評価のポイントも違う。言い争って喧嘩になることも多々あった。 世界史と経済学に詳しく、その方面に疎い自分には教えられることもあり、有り難い存在だ。とはいえ映画を見た後、そんな難しい話をするわけではない。むしろ他愛ない馬鹿話がほとんど。
今回も、
「1954年ゴジラと2016年シン・ゴジラの因縁、ともに同年(1954年と2016年)同名の映画「君の名は」が封切られ、興行成績では両年とも「君の名は」に敗けていること」、
ゴジラの英文表記は Gozilla,Gojilla,Godzilla など様々あり、今回の「シン・ゴジラ」はリメイクされたアメリカ映画に倣って「God(神)」の入った「Shin Godzilla」となっていること、その浅からぬ含意‥‥」なんて、益体もない話ばっかりだった‥それも良し、それが善し、それこそ佳し。