2ペンスの希望

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『挑戦』

或る協会の月報誌で渋谷昶子さんの近況を読んだ。御歳82歳。
女性記録映画監督先駆けのお一人だ。一年ほど前から東京都八王子の老人ホームに暮らしている。後輩協会員が訪ねレポートしている。「手掛けた中で一番好きな映画は?」という質問に、暫く考えたのち渋谷さんは、1963年に作った『挑戦』だと応えていた。翌年の東京オリンピックを目指す日紡貝塚の女子バレーチームの練習風景を追った記録映画だ。
『挑戦』は私の全領域、全身を使った映画ですね。編集には苦労した、泣かされたからね。選手の方々があんなに一生懸命やっているので、みんなの目はどうしてもそちらにいっちゃうでしょ。むこうが繰り返し繰り返し練習しているから、こちらも負けられない、繰り返し繰り返し。編集は相手があって自分がある。自分が先じゃないよね。相手をどこまで生かせるか。撮ったものが教えてくれるの。ラッシュを観たときにね。これは本質的な問題よね。
映画『挑戦』は、今YouTubeでフルバージョンを見ることが出来る。

50年ぶりに見直した。大阪の高校生だった当時、16mmフィルムを借り出し、高校の文化祭で上映したことを思い出した。
時間の在るときにでも視聴をお勧めする。併せて、制作の顛末を語った下記の文章も。
http://homepage2.nifty.com/pangaea_film/pangaeaeiga/shibuya/shibuya_interview/shibuya_interview2.html
どんな映画にもあることだが、一本の映画が生まれ育つ間には様々な偶然・エピソードが重なっていることがよく分かる。