2ペンスの希望

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本「吉田健一」

長谷川郁夫さんの本『吉田健一』をやっと読み終わった。
【新潮社 2014年9月30日 刊】昭和の初めから最晩年までの評伝 六百余頁 ファンにはたまらないエピソードがびっしり詰まっていた。創刊以来の「少年サンデー」「少年マガジン」の愛読者であったことなど初めて知る話も少なくない。
中から今日はひとつだけ。
立川文庫と「罪と罰」で文学であるとないの区別を付けることは、文学の根本を危うくするものである。一つの作品を書いて人間を動かすのに用ゐられる言葉に、文学であるのと文学でないの二種類ある訳ではないのであって、動かせば、それは文学であり、(中略) 動かすに至らないものが文学ではないのである。
文学という言葉を映画に置き換えて読んでみたくなった。 娯楽映画と芸術映画という区分けの皮相・無意味が透けてくる。