2ペンスの希望

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明快と曖昧

分かりやすいものが幅を利かせている。
間違いなく『泣ける』誰でも『笑える』―そんな映画ばかりがもてはやされる。
求められているかどうかははなはだ疑問だが、作る側・売る側はストライクゾーンは其処だとばかりに攻めてくる。つべこべは言わせない。有無も言わさず豪直球(?)を投げこむ。これでもかこれでもかの表層刺激大合戦。かくてより強いものが次々に登場する。感覚麻痺の縮小再生産、先細りのデフレ・スパイラル。
癖球・変化球は分が悪い。コーナー狙いのヘナチョコ球、ひょろひょろ球は人気薄。
難しいことをこねくり回さないで、何が面白いか、直感的な話をしようじゃないですか」最近読んだ雑誌「POPEYE」2015年5月号「僕の好きな映画」のリードコピーだ。
あれこれ考えるのは苦手なので敬遠、てっとりばやくコスパの良いのを教えてってか。 簡単明瞭・単純明快が悪いとは言わない。けど、白黒はっきりしたお子様ランチだけでほんとに満足なの。薄味なのに旨味あり、噛めば噛むほど味がでてくる、そんな歯ざわり・歯ごたえは無くなっても構わないの。
曖昧なものが消え、よくわからないものが排除される世界は、窮屈で不健康だ。