先回から半月以上間が空いた。何もしていなかったわけではないが、何かあったわけでもない。いずれにしろ、大したことはしていない。以前テレビ番組『浦沢直樹の漫勉』で観た「花沢健吾」の回が面白かったので、「文藝別冊[総特集]花沢健吾ヒーローなき世界を生きる」を読んだ。(河出書房新社 2016年4月30日 刊)
あれこれ手を変え品を変え工夫はしているが、中身は薄く内容は乏しい。
“非モテのヘタレ男キャラのヒリヒリするリアル:現実直視マンガ”の言葉に尽きる。
それでも、中川翔子対談は 唯一 面白く読んだ。
ディープな漫画の読み手=ショコタンのインタビュー力が冴え、花沢肉声が響いてくる。
キャラクター造形についてのやりとり―
花沢:最初のうちは、選択肢が2つあって、どちらを選ぶか‥‥みたいな状況で自分と 同じ答を選ばせたりもするんですけど、大概はストーリーが続かない方向に向いて しまう。そのうち「自分だったらそうしないけど、ここは勇気を出さなきゃダメだろう な」なんて場面が出てきて、どんどんキャラが離れていく。
花沢:作品イコール僕ではない。だから、主人公がどんなに痛めつけられようが知った こっちゃない、という感じです。
中川翔子(ショコタン)を評して―
花沢:言葉で全部、ちゃんと伝えることができる方なんだろうな、と。
思っていることを、ちゃんと言語化できる。僕、そういうのができないんですよ。
言葉にできないから、絵に描くというかんじで。
さらに、中川翔子(ショコタン)のマンガを評して―
花沢:ある程度までやってしまうと、読者が勝手に解釈しようとしてくれますから。
多少難解なほうが、読者は勝手に難しく読み解いて、楽しんでくれたりする ので。だからもう、本当に好きなものを自分の頭の中にあるものをそのまま原稿に 落とし込んでしまうといいかも。
編集さんから「これのテーマは何なの?」と訊ねられて、一切答えられない(笑)。
あとひとつ。
現在青年誌連載中の『アイアムアヒーロー』のネーム(下書き:駒割り;映画でいう絵コンテみたいなもの)と掲載最終原稿の並列も面白かった。