2ペンスの希望

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糸 英訳 仕合わせ

中島みゆきの楽曲『糸』はファンが多い。
多くのシンガーがカバーし、CMにも使われてきた。数日前、伊藤由希子さんという実践女子大学の研究者(倫理学・日本思想専攻)の論考:「仕合わせ」という「しあわせ」―中島みゆき『糸』をめぐって を読んだ。【雑誌「春秋」No.581 2016年8・9月号】
備忘録的に引用させて戴く。
『糸』が収録されたベストアルバム「大銀幕」(1998)、「Singles2000](2002)の歌詞カードには英訳詞が付され、「逢うべき糸に 出逢えることを/人は 仕合わせと呼びます」は、 When one meets the right thread We call it meant to be  と
訳されている。日本語に訳せば、「正しい糸に出逢ったとき、人はそれを“そうなるべく意図されたもの”と呼ぶ」となるだろう。「仕合わせ」が happiness ではなく、meant to be という受身表現で訳されていることに、多くの人は納得がいくのではないだろうか(ちなみに、中島みゆきの代表曲をあらためて英訳し、2008年に出版された『中島みゆき和英歌詞集』では、同じ部分が  When the right two threads meet each other  People call it happiness  と訳され、残念ながらこのニュアンスが消えてしまった)。
❉太字は引用者
誰の責任かつまびらかではないが、英訳詞の後退、劣化は歴然だ。
もう一か所。
『糸』は、「私」が「あなた」にめぐり逢った「仕合わせ」を「私」が語っており、「私」の生を縦糸とする方が自然なように思われるのだが、なぜか 「縦の糸はあなた、横の糸は私」、つまり「あなた」が「正系」とされ、、それに横から関わる「傍系」の役回りを「私」に与えているのである。
とあった。
ちなみに、『糸』の英語題は「Tapestry」である。
とも。
と、
ここで普段の管理人なら、YouTubeから引いてきた『糸』を置くところだが、そうしない。何故かって?管理人は、陽の『糸』より、陰の『命の別名』のほうがずっと好きだからだ。日向のみゆきより、日陰のみゆきの恨み節・応援歌を愛する。ご興味の向きは [ YouTube 命の別名 ]で検索・聴取をどうぞ。