2ペンスの希望

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渾沌から開闢へ

昭和の映画はとうに終わり、平成の映画ももうすぐ終わる。
私が生き愛してきた映画は昭和の映画だ。
フィルムの映画、スタッフワーク・分業の映画。
時代とともに映画も変わる。
平成の映画は、デジタル・メモリーチップの映画、セル生産方式自己完結型
マルチプルプレイ)映画となった。(もっとも映画はそもそもが複合体の産物
ゆえ、統合・連携が必須であることに変わりはない。ただそのありようはこれまでもこれからも絶えず変化し続けるだろう。過去の歴史を簡単清算・リセット、上書き消去と云うわけにもいくまい。)
今の映画は液状化し、眼も鼻もない渾沌の中でもがいているように見える。
新しい年号の新しい映画が、渾沌を抜け、新たな地平で力を付けていくことを
切に願う。古事記の国生み神話ではないが、混沌から開闢へ。
もっとも荘子「渾沌、七竅に死す」なんてのもあるので、一筋縄ではいかない。天地無用・取扱注意。油断なくいきたい。