メモその二。「垣根がなくなった」
フィルムでの製作・上映がデジタル化で変わったことで、ミニシアターとシネコンの垣根がなくなりつつあるという指摘があった。トランスフォーマーという映画配給会社の加藤慎一郎さん(1977年生)の発言⇒「以前の地方館での上映は、東京でまず上映をして反響を見て、その空気感を地方に運ぶというような時間をかけた流れで行われていました。今ではプリントの輸送という問題が解決したこともありますが、その垣根がどんどんなくなってきている感じはありますね。」フィルムの頃は上映用プリントを一本作るのに数十万円と結構な費用が掛かった。DCP(デジタルシネマパッケージ)になってフィルムを焼く必要はなくなり輸送の問題も解決した。一時ネックだったVPF(バーチャルプリントフィー)の縛りも消えつつある。
シネコンではブロックバスター・メジャ新作を、ミニシアターはアート系(意識高い系、社会批判・主義主張メッセージ系、カルト系、一部熱狂信者支持系、etc.)といった棲み分けは無用になる。細切れ小分けした複数スクリーンをフットワークよろしく最大効率活用する上映スタイルは、シネコンでもミニシアターでも、可能だ。全国一斉同時公開、映画館独自のカラーも様変わりし、映画館に付く固定ファン、支持層も変わる。一方で、一本一本個々の映画の消費サイクル・賞味期限は早く短くなっていく。淘汰と選別が加速する新たな戦国時代に突入している。