「地べた」に生きるブレイディみかこさんの本『他者の靴を履く アナ―キック・エンパシーのすすめ』から、もうひとつ。
「日本のテレビ番組の画面は(英国から日本に旅行した人がある人たちがよく言うことだが)「BUSY」だ。画面上の情報量がめちゃくちゃ多い。映像の下のほうに日本語の字幕がでているかと思えば、左上には時間と気温と天気予報のマークがでていて、右上には番組の題名とロゴと現在流れているコーナーのタイトルがあり、その下には四角い囲みがあって、スタジオで映像を見ている司会者やコメンテーターの顔の動画まで出ている。一つのスクリーンの中にひしめき合うようにたくさんの情報が入っているのだ。これでは、注意力や集中力をそらさないどころか、かえって散漫になってしまう。」
確かにそのとおりなのだ。
なぜこんなに情報テンコ盛りで騒がしい画面なのだろう、と考えたみかこさんは、ある仮説を立てた。
「要するに、待てないのではないか」 と。
「視聴者が「待てない」から制作側がそうするようになったのか、制作側が「視聴者は待てないだろう」と考えてこういう画面づくりをするようになったのかはわからない。が、この情報量の多さは、欲しい情報があったらいつでも自由に別のサイトに飛んでいけるインターネットの「速さ」に対抗しているように見える。テレビは自由に切り替えることが出来ないから、とりあえずいっぱい情報を映しておけば、どれかに誰かがひっかかってくれるだろうというわけだ。」(太字 引用者)
納得。英国暮らしが長い日本人ゆえの「遠目からの近接」観察だなぁと感心 得心した。確かに最近 人は「待たずにすぐに何かの情報を得ることができる」環境に慣れきっている。スピード、効率最優先。じっくりたっぷりゆっくり味わうことが不得手になってしまったようだ。
残念~!(©波田陽区)