2ペンスの希望

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リタイア⇒「時効なし」

気の置けない友人たちと雑談していて、「映画屋にリタイアはあるのだろうか?」という話になった。新藤兼人は100歳で没するまで現役だった。98歳車椅子で『一枚のハガキ』を撮った。老害という揶揄もものかは日本最高齢 世界でも稀有な長寿映画監督として生きた。先夜 新宿の路上でタクシーにはねられて亡くなった若松孝二は76歳、次回作には、福島第1原発の事故を扱った映画、沖縄戦・第2次世界大戦で生物兵器を研究開発した731部隊の映画、白虎隊をテーマにした映画などを構想していたらしい。懲りないというか、めげないというか。病膏肓(やまいこうこう)。ある意味天晴れなことだ。「映画に時効はない。僕が死んでも作品は50年、100年と残るんだ」が口癖だったとご遺族は語っている。
どうやら欧米人や大企業の退職老人のようにハッピィリタイアメントとはいかないようだ。間違っても蕎麦打ちなんぞ始めそうもない。
作り手だけじゃない。見るだけの映画人もそうではなかろうか。
数年前から、私設映画会を始めたという話が周囲にも増えてきた。それぞれの映画について、その出会いと意味について、若い世代に何ごとかを語ること、伝えること。それは映画の黄金時代を知る人士の特権であり、責任でもあると思うが、如何か?