2ペンスの希望

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「雨が空から降れば」

今日は、どうしても小室等さんの「雨が空から降れば」を採り上げたい。
作詞 別役実 作曲 唄 小室等 

1995年1月17日阪神淡路大震災の時は東京に居た。阪神間の実家は全壊したが、家族は青痣だらけになりながら何とか怪我もせず無事だった。再会しホッとした後、暫くして何やら得体の知れない大きな怒りがやってきた。誰に対してなのか、何に対してなのか、悲しさではなく静かな怒りだった。地震にやられっぱなしじゃイカレコレ、それじゃあイカンといった感じだったろうか。
そこで、同じ“間接被災者”(実際の揺れを体験しなかった被災者は当時そう呼ばれた)のディレクター(彼はインドで震災を知って急遽帰国。芦屋で姪御さんを亡くしている)と組んで、TVドキュメンタリーを三本作った。一本目は、長田の地場産業ケミカルシューズに生きる人々を追った。二本目は神戸市のとある公園、其処でのラジオ体操会復活の定点観測日誌、三本目は被災者たちがシルクロードを自転車で踏破する「人生のペダル」。ディレクターのすぐれた奮闘もあっていずれも印象深い仕事になった。その二本目(ラジオ体操の番組)のテーマ曲に使ったのが、この「雨が空から降れば」だった。選曲マンの推薦だった。ドンピシャ。一発でイカレタ。これ以上望めない的確な選曲は番組をふくよかに膨らませた。以来忘られぬ曲になった。
雨はひとりだけに降り注ぐわけではない。」天災はしょうがない――そんな理屈・解釈を超えて、いつ聴いてもしみじみヒリヒリ胸に沁みる
時代を越える音楽の力を感じる。