2ペンスの希望

映画言論活動中です

「ゆっくり負ける」

吉野万里子さんという方の『チームひとり』という小説を読んだ。
ジュブナイルヤングアダルト(発達心理学で言う所の成人期前期12〜19歳若い大人)向けのライト・ノベル。スポーツもの=小学生卓球選手の成長物語。ラスト近く、コーチが主人公の卓球少年にアドバイスする言葉が印象に残った。
手強い相手に苦戦を強いられている場面で、コーチが言う。
おまえにはね、もう一つだけ悪いくせがある。‥‥こいつには勝てない、と思うと、さっさと自分から引いてしまう。‥急いで終わらせようとする
主人公少年の反論。
早く終わらせたって同じじゃないですか、負けは負けなんだから」
応えるコーチ。
そこが、ちがーう。‥‥ ゆっくり負けるんだ。簡単には勝たせない。一球一球、覚えるんだ。考えるんだ。次にそいつに会ったときには、きっと勝てるように
ゆっくり負ける」なかなかいい言葉だと思った。
似たようなのに、「転んでも只では起きない」というのがあるが、十倍いい。