2ペンスの希望

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「落語の快感構造」

昨日に続いて枝雀の番組から。「落語の快感構造」と題した考究を採り上げてみる。
遺された大学ノートの図解は↓
第一層=趣向
第二層=笑い
第三層=「怖がる」を楽しむ
第四層=風情・生活・色気・季節感
第五層=直情発露(他を先にする心)
  と 末広がりに膨らむ図が描かれている。
これに 欄外に附された走り書きも踏まえながら、
演芸作家・演芸研究家の小佐田定雄さんが解説を加えている↓
第一層(=趣向)は、ストーリー・物語。気をひくところ
第二層(=笑い)では、仕組んだ笑いに加えて共感の笑い、
               あんなやつおるおる、面白いなあ
第三層(=「怖がる」を楽しむ)は、謎やサスペンス、怖いのもの見たさということか?
               枝雀ノートには「緊張 快感」の文字がある。
第四層(=風情・生活・色気・季節感)は、生・ライブ、つまり、臨場感か?
               あるある、生きるとはそういうもんや
第五層(=直情発露)は、他を先にする心 そうありたい ということ。

第五層については、演者と受け手が奥深いところで共有する「魂の叫び」(by 小佐田)
欲深い境地?立川談志いうところの「人間の業の肯定」!?(by 管理人)と感じ入る。
翻って今の日本映画
愚痴は云いたくないのだが、
一層目は吹けば飛ぶようなペラペラ、
二層目もお寒く皮相なクスグリばかりが目に付く。「おるおる」どころか「そんな奴おらんやろ」(by こだまひびき)といいたくなるような、リアリティゼロの類型的・図式的・記号的な人物造形が大通りを闊歩している。
五層とまでは云わない。がせめて三層程度の厚み(厚味)ミルフィーユくらいは心がけて欲しい。心からそう願う。