2ペンスの希望

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「本当のことを云おうか」

詩を書く人はごまんといるが、詩だけでメシが喰える詩人は少ない。日本ではただ一人ではないかと思われる谷川俊太郎さんが大阪で受けたインタビュー記事を読んだ。
詩というものは、基本的にあいまいで多義的なもの。教育の現場では、これは何を意味しているのか、作家は何を言いたいのか、っていう風に読むでしょう。でも、そんなに簡単に割り切れるものじゃない。」 【読売新聞2016年4月7日夕刊:関西版】
昔々読んだ谷川詩を久しぶりに思い出した。
  「鳥羽1」
  何一つ書くことはない
  私の肉体は陽にさらされている
  私の妻は美しい
  私の子供たちは健康だ
  本当の事を云おうか
  詩人のふりはしてるが
  私は詩人ではない
  ‥‥‥

リアルで切実でファンタスティック。詩の力、詩人の底力を実感する。