2ペンスの希望

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Viva Video!

大阪の美術館で「Viva Video! 久保田成子」という展覧会を観てきた。

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残念ながら、あまり惹かれなかった。

1ドル360円時代に渡米し、初期のビデオカメラ(ヴィデオカメラとするのが正しいようだが、今日はこの表記で統一)と出逢ってその黎明期に活動した一人の女性前衛芸術家の軌跡を辿った展示だった。写っているものより、ビデオカメラという「オモチャ」のほうに淫しているようでいただけなかった。オモチャというのが揶揄的に過ぎるなら、「武器」と言い換えてもいい。社会や時代に向き合い撃って出るための「道具=ツール」。映像の中身・内実そのものは二次的で関心も興味も薄かったように感じた。あまり美しくなかった。正直 下手だった。フィギュアの伊藤みどり選手に触発されて作ったらしい《スケート選手》1991-92 も、街角や電車内の広告・サインに映像が氾濫する今となっては、ちゃちなデクノボウにしか見えない。

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パフォーミングアート、ビデオ・インスタレーション、ビデオ彫刻、エンバイロンメンタル・アート、‥‥、どんなふうに呼ぼうと構わないが、芸術家がテクノロジーにはまり溺れすぎると碌なことにはならないようだ。アイディア倒れになって中身がおろそかになり、すぐに陳腐化する危険アリなので用心した方がイイ。歴史として振り返り、お勉強することは否定しないけど‥‥なんだかなァ。