AI にまつわる本を何冊か読んだ。
囲碁将棋では人間を負かし、小説や映画作りの世界での導入研究も進む。けれど、まだまだ弱点があるようだ。嘘を見破るのは難しく、雑談も苦手だ。所詮、「ビッグデータの集積」と「探索の高速化」「評価関数の機械学習」にとどまっている、そんな話だった。「文脈を読む」ことにも長けていない。
人間の脳は予測し調整し身構える。だから、ズレて、誤り、間違えることが出来る。これは断然有利な「能力」だ。
本の中に、「身体を持たず、頭脳だけだと"乾いて"いってしまう。身体と環境と知能にまたがる"ウエット"な存在を作れるかどうかがポイント」(三宅陽一郎:ゲーム AI 開発者)とあった。「人口無能」(山登敬之:精神科医)とも。
「美意識と倫理感は、逃げ足遅く肉体的にも脆弱な生物である人間が、集団を維持するために作ったシステム」(中野信子:脳科学者)という言葉も印象に残った。【引用はいずれも『僕らの AI 論 9名の識者が語る人工知能と「こころ」』2019.6.25 SBクリエイティブ 刊】