2ペンスの希望

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技術vs人間❶ 解像度

「技術は進化し、人間は劣化した。」そんな思いがぬぐえない。

(原因は知らない。資本主義が行くところまで行って、それでもとどまるところを知らずに行き詰ってしまった結果なのか、そのあげく、人間がどんどん多忙になって貧乏になってしまったせいなのか、それは分からない。専門家・学者先生方の研究・分析にお任せするしかなかろう。)

だが、技術は間違いなく進化した。映画の世界でもフィルムはメモリーカードに変わり、4K8Kが登場し、4Kカメラ搭載のスマホも普通になった。高精細化の流れは止まらない。

一方で「人間の目の解像度は4Kから5K、それ以上は視認限界を超えて識別できない」という専門家の指摘もある。そうでなくとも、若い人たちの映画視聴、受容の変化には驚かされる。その解像度の粗さ・狭さ・低さが気になって仕方がない。ファスト映画、倍速視聴、飛ばし見、ながら視聴は今や当たり前の習慣だ。あらすじと結末さえ分かればOK、主人公が登場しない場面やセリフなしシーン・風景描写画面は飛ばして早送り、お目当てのところだけ見れば十分 満足。目を皿のように凝らして何時間も暗闇の中で集中するなんてかったるくってごめんなさい、タイパ悪すぎ、時間は無駄にしたくない、あちこちからそんな声が聞こえる。ディテールはすっ飛ばされ、余韻余白は無きものになってしまったようだ。

コレすべて オールドファン耄碌爺さんの繰り言・嘆き節に過ぎないのだろう。けど、楽してエエ目に会いたいあまりに、科学技術と機械にすべてを託して、人としての能力・感度が劣化していくのなら なんともなさけなく もったいないことだ。