2ペンスの希望

映画言論活動中です

何を今更と言わずに

〝映画とは何か〟なんて言い出せば、何を今更ダサイことを、と笑われてしまうかもしれないが‥もしかしたら、もう一度あらためて一から〝映画とは何か〟を白紙で考える時期に来てるんじゃないか、最近そんな思いに駆られて仕方ない。

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1895年のリュミエール兄弟のスクリーン映写を映画史の嚆矢とするなら、映画の歴史は既に百二十余年を数える。

スクリーンだけだったものがTVモニターやスマホ画面に、多数観客の同時鑑賞から個別個人の細切れ視聴へ‥‥。シネコンもあればミニシアターもアーカイブもネット配信も‥多種多様になりながらその一方で小粒化・閉塞感がぬぐえない。技術進化の果ての袋小路‥そんな感慨も浮かんでくる。

疲労もたまれば、劣化もみえる。新鮮な驚きは薄れ、ルーティンが重ねられていく。現場は貧血気味で痩せ細り、格段に増えた研究者・学者諸氏は、一番おいしい芯の御馳走には向かわず、ひたすら重箱の隅をほじくり続けている。誰もまだ手を付けていない隙間探しにいそしむばかリ。不健康極まりない。

もう一度、愚直に真摯に誠実に〝映画とは何なのか〟を突き詰めて考えてみてはどうだろう。大らかに健やかに問い直してみてはどうだろう。

誰もが知っている。みんなわかっていると思っているのに、あらためて問いなおし、いざ定義しようとすると結構てこずるものがある。「映画」もそのひとつじゃなかろうか。自明のように語られるが、世代や年齢、経てきた経験によって皆それぞれにイメージするものは異なる。期待も定義も重なりながらも微妙にズレている。もっとはっきり言えば,ばらばらだ。誰が正しくて、どれが重要とは言えない。ここらで白紙還元、リセット、ご破算で願いましては‥‥