2ペンスの希望

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道典さん

尾道典さんが2023年9月22日に亡くなった。知らなかった。87歳だったから人生的には大往生の部類だろうが、映画人生的にはどうだったのだろう。

初監督映画『女医の愛欲日記』(1973年 東映京都)は封切りで観た。白石奈緒美が主演した変な映画だった。

まったく評判にならなかったようで、以来不遇をかこった。

監督資質ではなく、根っからシナリオの人だったのだろう。

若い頃からシナリオ集をたくさん出してきた。管理人は欠かさず読んで唸ってきた。今も書棚に並んでいる。哀悼の意味を込めて挙げておく。

1970年『曠野の歌』

1976年『蛇海』帯には 唐十郎鈴木則文菅原文太が言葉を寄せている。

1979年『山手線目赤駅

1989年『金属バット殺人事件 幻の魚』

他にも 1981年『緑年時代』1982年『私の動物図鑑』など何冊もあるが何処に行ったのか見あたらない。

はっきり言おう。

私にとって1968年の映画『絞死刑』は大島渚の映画ではなく、断じて道典さんの映画なのだ。

あの1974年『竜馬暗殺』が黒木和雄作品じゃなくて、脚本を書いた清水邦夫田辺泰志の映画なのと同じように。

シナリオこそが映画の命なのに、のこるのは監督の名前ばかりなのは悲しい。

尾道典さんにあらためて  合掌