映画ファンなら誰にだって、十代から二十代前半に観た忘れられない一本がある。
拙管理人に 1952レナート・カステラ―二監督『Due Soldi Di Speranza(2ペンスの希望)』があったように、蓮實重彦大先生にとっては 1957ドン・シーゲル監督『BABYFACE NELSON(殺し屋 ネルソン)』だった。最近読んだ蓮實本『ショットとは何か』【2022.4.22. 講談社刊】で遅ればせに知った。
余談だが、この本、心ならずも(? 不徳の致すところ??)信者多く難解な映画評論の大先生に祀り上げられてしまったハスミン大明神が、実は「ヨドさん・ヨドチョウさん・サヨナラおじさん(淀川長治さん)」のようになりたかっただけなのに‥という〈告解の書〉に読めなくもない。
「(映画は)面白かったとか、気持ちがいいとかがまず第一。それがどこからくるのかをうまく語れればそれだけでもう十分。」と語っている。
最も多感で浴びるように映画を観ていた二十歳のころ、日本公開時に封切りで観たようだ。DVD化されていないことを嘆く蓮見さんだが、どうしてどうしてYouTubeで全編視聴可能だ。お薦め ⇓
ちなみに、「十代から二十代前半に観た忘れられない一本 」で、へーと思って今も印象に残っているのは、
東京の足立正生監督 1939 ヴィクター・ヤング監督『風と共に去りぬ』
倉敷の田辺泰志監督 1955 木下惠介監督『野菊の如き君なりき』
この二本はご本人から聞いたので、間違いはない。
もう一本、日本映画監督協会の崔洋一理事長の一本は 1974 ルイ・マル監督『ルシアンの青春』これはうろ覚えなので記憶違いだったかもしれないけれど‥もはや確かめる術もない。いずれも似つかわしくなさそうで、どこか納得させるものがある。