『映画館を再生します。小倉昭和館、火災から復活までの477日』【2023.11.30 文藝春秋 刊】は胸アツ本だった。
その他‥田中慎弥、中村哲~火野葦平~玉井金五郎、NPO法人「抱撲」、鮎川誠(四列七番)、リリーさん、青山真治、村田喜代子、‥‥大勢が綺羅星のごとく登場する。なかで高倉健の手紙。
「映画館閉鎖のニュースは、数年前から頻繁に耳にするようになりました。日々進歩する技術、そして人々の嗜好の変化、どんな業界でもスクラップ・アンド・ビルドは世の常。その活性が進歩を促すのだと思います」」
他人の力は借りず、自分の借金はつくっても、補助金はもらわない、寄付も受け付けないでやってきた先代の父・樋口昭正さん。そんなこと、言ってられない、と皆さんが差し出してくれた手を握り返して、一緒につないだまま、再建しようとする三代目の奮闘記。「映画館の運営は大好きで、自信はあります。経営者にはなりたくない。」「最高と最適はちがいます。」といった言葉も‥
以前、塚本晋也の本「『野火』全記録」を書いたことがあるが、「全記録」と謳うなら軍配はこの「小倉昭和館再生本」に挙げたい。おススメ。