2ペンスの希望

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893

映画も観るが、本も読む。タレント業も器用にこなす日本映画の監督さんが2010年に『ガキ以上、愚連隊未満』という本を出している。つい最近 知った。未読。ガキ 愚連隊、ヤクザ、‥最近余り目にしなくなった言葉だ。そういえば昔は映画をやりたいなんていうと「また、ヤクザなことを」なんて云われたりした。少なくとも「カタギ」の仕事だとは思ってもらえなかった。それが今や大学で教える「学問」になって、若い研究者が輩出(?)する勢いだそうだ。時代は変わった。カタギとヤクザの境界はあいまいになった。マットーなヤクザ・渡世人が見え難くなった。ガキとハンパな愚連隊ばかりが目立つなぁ‥なんて思っていて、ハタと気がついた。くだんの監督さん、自覚的に自戒の念も込めた自己認識・自画像としてこんな本を書いたのかもしれん。読んでみようか。それにしても、ガキも愚連隊も「昭和」の響きだなぁ。もっとも、とするならカタギやヤクザは明治言葉か時代劇か。昔 観た『893愚連隊』という映画(わかりますよね、893はヤクザとも読めるんですよ)のラスト。三条大橋の上で主人公の若者たちのやりとり・決めゼリフを思い出す。
「アーア、ハックイしのぎないかいな」「ないな‥‥ほんまに、しのぎにくい世の中や」「政治家は何しとんのや」‥‥「粋がったらあかん。ま、当分はあかんで、ネチョネチョ生きとるこっちゃ」(雑誌「映画評論」1967年4月号所収 監督協会新人賞シナリオ『893愚連隊』中島貞夫監督より無断引用。一部漢字表記に変更)