2ペンスの希望

映画言論活動中です

新作禁止令

201X年X月XX日 新作禁止令が発令された。以降、新しい映画を作って発表することが全面的に禁止された。反応は様々に現れた。おとなしく従うもの、地下活動に走るもの、旧作の一部を改変して、いやコレは新作ではない、改定作だから法には触れない、と隙間で立ち回ろうとするもの、作り手は色々だった。
見せ手たちはどうか。映画館は旧作の棚卸・再発掘におおわらわだ。観客にはなべて好評だった。旧作オンリーに何の問題もなかった。年配者は懐かしみ、若手には新鮮に映った。別に新作でなくったっていいよ、昔の方が作りも丁寧だし、全然面白いし‥。当初は、レンタルショップに通い、部屋で一人見ていた。そのうち人にも薦めたくてなって、ホームシアターが盛んになった。やがて人と一緒に見ることの楽しさに目覚めた観客たちが、映画館に帰ってきた。映画館は往時のように賑わった。映画は蘇ったが、新作が欲しいという人は誰一人いなかった。‥‥てなことにならないかなぁ。
今日は映画館論妄想篇。