2ペンスの希望

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背反有理

映画の世界にも印象的な言葉は幾つもある。或る先輩の言葉。「映画というのはきちんと撮ってあれば、作り手の意図を超えて、さまざまなものが伝わったり見えてくるのだ。画面に集中することからいろいろなものが見えてくる、聞こえてくる
全く同感。拙の場合、多義性とか映画の不純度と称してきた。それが奇蹟的に上手くいった場合、両立するはずのないものが共存する。怒りと喜び。哀しさと可笑しさ。背反する二つが同時的に立ち上がってくる。
笑いながらボロボロ泣けてくる‥そんな体験をしたことがない人は、映画になんか関わらない方が身の為だ。
毛沢東のひそみにならうなら、背反有理とでも云おうか。(え、古すぎてわからないって?文化大革命の頃、紅衛兵が掲げたスローガンが「造反有理」だった。えっますます分からないって??そうかもうかれこれ半世紀も前のことだもんな)
アンビヴァレント、愛憎併存、陰陽反転、天使と悪魔が同居する。彼岸も此岸も一続き。地獄極楽横並び。その豊かさ、ふくよかさこそ映画の魅力なのだ。
吉田健一の言葉は何度も触れてきたので繰り返さないが、同じようなことを言っている。ご興味を抱かれた方は、是非過去のブログを参照されたい。【2012年2月2日付:今は昔‥日曜映画監督】【2012年2月26日付:《ご近所大長征》note3シンプル】【2012年4月25日付:みんな】
ということで、この「背反有理」について、しばらく続けてみる。(内緒だが、年始の目標。今年中に「背反する二つ」が併存両立するスゴくてステキな台本が一本でも書ければいいな、という身の程知らずを夢見ているのだ。  あーぁ、書いちゃった。)