2ペンスの希望

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ターンオーバー

以前「ターンオーバー(Turn over)」と題する映画を作ったことがある。公開途中にタイトルを変えたので今は、原題としてしか記録には残っていない。ターンオーバー:
ウイキペディアを見ると、「生物学における代謝回転:生物の組織や細胞の増殖と死滅、生体分子の合成と分解による動的平衡を指す言葉」。トランプでは、「カードを裏返す技」のこと。バスケットやアメリカンフットボールなどの球技では、「攻守が入れ替わる」こと。目玉焼きでは「両面焼き」を表す英語である。要するに、ひっくり返すこと。色んなものをひっくり返したいという性癖は生来のものらしい。映画のタイトルに選んだ時は、東京中心の映画情況を「ひっくり返したい」という含意も込めたつもりだった。(その後の顛末については色々あるのだが、ここでは触れない。)
最初期に書いた企画書の冒頭はこんな風に始まる。

一瞬と永遠がひっくり返る
こっちとあっちが入れ替わる
日に日に若返る
あっという間の五十年 いやというほど永い一日
遠く離れているのに 親しい(近しい)
古めかしくって新しい
知らないのに 知っている
初めてなのに 懐かしい
遠くからすぐそばで
小さくて大きな力
ゆるぎなく遊びをもった構造
固定観念や常識を身体感覚や実感でひっくり返す
そんな映画を作りたい

さて、背反有理その2 である。
忘れられないフレーズは沢山あるが、何といっても凄いのは、
初代鳳啓助、二代目赤塚不二夫の言葉
忘れようとしても思い出せない」 これである。 この矛盾 このナンセンス。
イギリスの精神分析医DWウィニコットの著作には
普通の献身的なお母さん(ordinary devoted mother)」というのがある。
オランダの言い伝えには「普通に生きようとするなら、それだけで十分狂っている
よしだたくろうの詞には「誰かが言ってたぜ。俺は人間として自然に生きてるいいだと。自然に生きるって わかるなんて なんて不自然なんだろう」というのもある。【1970年発売のファーストアルバム『イメージの詩』収録】
‥‥う〜ん、何やら知識のひけらかし、インテリの言葉遊びじみてきた。よって今日はこれまで。(この項「背反有理」暫く続く。そのつもり)