2ペンスの希望

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特典が欲しい?裏書が必要?

最近立て続けにミニシアターの関係者から似たような話を聞いた。
いまや公開初日に監督や出演者が舞台挨拶するのが常態になっている。上映前の挨拶や上映後のトークショーなどが盛んに行われる。それがないと観客が集まりにくいのだという。ただし、ゲストが帰った後 客足はぴたりと止まり閑古鳥が鳴くそうだ。
最早何かの付加価値・特典がなければ、何も劇場に足を運ぶことはない、DVDで十分ということなのだろう。劇場も集客効果を狙ってゲスト投入に注力する。監督さんも心得たもので、「この映画のテーマは‥‥とか製作意図は‥‥」と滔々と語り顧客サービスに相勤める。
集客の為の宣伝に何をやろうと勝手、傍がとやかく言うべきではないという考えもあろう。確かにそうかもしれない。しかしそう思う反面、「べらべら喋らず、黙って映画を観て下さい」とだけ言って、映画そのもので勝負しない(出来ない?)のかなぁと寂しくなる。
拙自身は、映画館では映画だけを楽しみたいほうだ。作り手込みで映画を消費するのは出来るだけ慎みたい。そう思ってやってきた。しかしどうやらそれは少数派らしい。
もう一つ、論を進める。
最近の観客は若い世代も含めて、現実・事実の裏書を求めたがる傾向にあるようだ。監督さんや役者さんが姿を見せ「現前する」ことが期待されている。事実や実話があって初めて受け入れる。それだけで成立するはずの「映像世界(ヴァーチャル)(フィクション)」が、「現実世界(リアル)」の支えがあってやっとこさ承認されるということらしい。そういえば、ウソ!やマジ!といった言葉も定着して久しい。若者だけでなく、いいオトナまでが当たり前に使う。これらの言葉もホントかどうかを問うているリアルの裏書要求なのだと考えれば腑に落ちるというものだ。
私たちは今、フィクションがフィクションとして、ドラマがドラマとしてひとり立ちしづらい
受難の時代に生きている。 今日は(今日もか?)小難しい話になった。