2ペンスの希望

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闇三題

古文書その一に書いた「闇」に彷徨(さまよ)っている。
よって今日は、闇の話題 三つ。

最初は、「闇歩きガイド」中野純さんのこと。
トワイライトハイク、ミッドナイトハイクなど夜の山や街を歩くナイトハイカーの草分け。知ったのは、十数年前。著書に『闇を歩く』(お薦め!)『闇と暮らす』などがある。

次は、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。
直訳すれば「暗闇の中の対話」だろうか。公式HPには「暗闇のソーシャルエンターテインメント」とある。五年程前ラジオ番組の仕事で取材したことがある。何人かがグループとなり手を繋ぎながら、およそ1時間半、しつらえられた真っ暗闇の世界を探検する体験型イベントである。1988年哲学博士アンドレアス・ハイネッケさんの発案によってドイツで始まった。既に世界30カ国130都市あまりの都市で開催されてきた。日本でも東京に続き大阪でも始まった。予約制だが最近はなかなかチケットが取れない人気らしい。

三つ目は、「暗闇演劇」。
文字通り、暗闇の中、音と気配だけで演じられる「見えない」演劇だ。かの学ラン集団大川豊総裁率いる大川興業が十年ほど前から手掛けている。これは未見。

さて、この三つ、近代ゆえの仇花とみるか、
根源的身体感覚解放への現代人的希求と捉えるか、見方は様々だろう。
ただ、これだけは言える。
見えないことで間違いなく聴覚・臭覚(嗅覚)・触覚‥第六感が研ぎ澄まされていく。
闇の中だからこそ見えてくるものもある。それにも増して、
闇ゆえに、自分(という存在)が溶けてなくなっていく快感がある。
これが一番 何よりの魅惑だろう。

闇に惹かれる性向は昔からあった。
もとより映画も映画館も闇の世界との親和性が深い。
闇の豊かさ・包容力が、映画的快感のひとつであることははっきりしている。