豊中市曽根に出掛けて、小田香監督の『GAMA』を見て来た。
小田さんは、このところずっと日本の地下を撮り続けている。その新作お披露目上映、無料ということもあってか200席がほぼ満員の盛況だった。
豊中市とコザ市の交流をバックグラウンドにしたアーツプロジェクトの2022年事業。
戦没者の遺骨収集に取り組むNPO法人沖縄鍾乳洞協会の松永光雄さんの姿と語りに、映画作家でもあるダンサー・吉開菜央さんが「かげ:つなぐ人・いざなう人・導く人」となって寄り添うように登場する。映画上映後のトークで、小田監督は「キャストとして表記されているが、吉開さんはキャストというよりクルーの一員。一緒にセッションしている感覚だった」と語っていた。キャメラを廻したのは高野貴子さん。彼女は空族の初期の映画の撮影をずっと担当してきた管理人のお気に入りキャメラマンの一人だ。プロデュースを担当した杉原永純さんは、別のところでこんな発言をしている。「今関心のあることは、少人数で機動性の高い映画制作のプラットフォームづくり」
札幌に続く「Underground」series の第二弾「沖縄編」。地下に刻まれた記憶・痕跡を辿る60分の中編。面白かった。闇への関心について小田さんは「暗闇は自分たちがどこにいるのかをわからせてくれるメディアだ」と語っていた。
思えば、映画だって生まれた当初は、闇の中に包まれて見るメディアだった。それが今では、白日の下、手のひらサイズで見下ろすメディアになっている。
小田さんは闇を通じて、「映画とは何か」「私たちはどこから来て、どこに向かっているのか」を探っているのだと思う。ただ、洞窟の闇の匂いや湿度、空気感を伝えるまでには至っていない。音への敏感、五感を研ぎ澄ませる・研ぎ澄まさざるを得ない緊張感・切迫感はまだまだ足りないと感じた。もっともっと 闇の体験・闇に包まれる至福(恍惚と恐怖)に迫ることを期待する。
アフタートークでは、札幌編・沖縄編に続いて、「もう一本撮って長編に仕上げる予定だ」そうだ。楽しみに待ちたい。