2ペンスの希望

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昔の山脈

昔作られた映画は、製作当時の時代背景・社会情勢に制約を受けるので、瑞々しさが失われ経年劣化するという意見がある。
賞味期限切れ。時代遅れ、お笑い種、失笑もの。ポンコツ
一方で、時代にそぐわなくなった流行や風俗が自然漂白されて生臭いアクが抜け、風合いが生まれる、という評価もある。時間に洗われ丸みを帯びた本質が露出し、蒸留されたエキス・スピリッツのみが生き残り、永遠の命を得る、とも。
クラシック、スタンダードナンバー、古典、名作。
何をイマサラかもしれない。きっと99%は余計なお世話だろう。が、若い世代に、彼らが生まれる前の達成・山脈を伝えることにも1%程度の意味はあるだろう。
もっとも何時だって、年長さんが年少組に何かを言うと説教臭く自慢が滲むものだ。
従って、ガイドとなる参考情報は、最小限にとどめておくのがベストだ。
以下は、
岩波のPR誌「図書」2014年8月号から始まった斎藤美奈子女史の「文庫解説を読む」を元に記す。
①映画の書誌情報、作者の経歴、映画が作られた時代背景などの「基礎情報」
②映画の特徴、要点、魅力などを述べた視聴の指針となる「アシスト情報」
これで十分だろう。(斎藤女史は、更に③その映画を今見る意義を述べた「効能情報」更に更にその先を行く④「使用法・活用情報」までを推奨しているが‥ガイドブックが手放せないマニュアル本世代にはそうなのかもしれない。)映画は①と②で十分。もしかしたら文学と違って、①も不要、題名と製作年のみで、あとは自分で調べれば事足りることかも知れない。あるいは調べなくとも、じかに映画に向き合うのが一番。予習、予備知識なしに見ればよい。その映画がアナタにとって古典に値するのかどうかは歴然とわかる筈だ。相性も愛惜も‥。  映画のやさしさとこわさはここにもある