2ペンスの希望

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テンプレ映画

複雑なものが敬遠されるようになったのは、いつ頃のことからだろうか。
昨今、単純で分かりやすいものばかりがもてはやされる。
純化・画一化・全体性>複雑さ・個別性。
テンプレが重宝される。定型・類型・ステレオタイプ・紋切り型。
単純明快、泣ける・笑える・癒される‥‥。
何も考えない人にもピンと来る分かりやすさが求められる。
実用・実利>無用・無為 の傾向が加速している。
分かりにくいもの・歯ごたえがありすぎるものはスルーされてしまう。

昔々明治時代に「テンプラ学生」という俗語・はやり言葉があった。
在籍していないのに無断で講義を聞きに来る偽学生なりすまし学生のこと。格好だけで中身は偽者のことを衣だけのてんぷらに見立ててそう呼んだ。みてくれだけで中身のないテンプラ紳士なんてのもいたそうだ。
其の伝でいくなら、イマドキの単純映画はさしずめ「テンプレ映画」とでも呼ぼうか。