2ペンスの希望

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外観だけちゃんとしている困り物

谷川雁の単行本未収載散文集『不知火海への手紙』【アーツアンドクラフツ2014年12月31日 刊】にこんなくだりがあった。 天然鮎と見紛う養殖物の巧妙の話。
つまりニセモノがしだいに自分自身を改良し、ホンモノに近づこうとするのですが、外観がどんどんホンモノらしくなるのにたいして、中身はいっこうにホンモノへ接近しないという一例です。私はホンモノ・ニセモノ論のしたり顔は大きらいです。島の特産を奪う側面を無視すれば、北関東産の大島つむぎを毛ぎらいするものではありません。しかし、味はまずくて、外観だけちゃんとしているのはこまります。食べてみなくてはわからないというのでは、インチキを避ける道がないからです。」ちょっとみ映画、どこからみても全く映画、しかして中身は、似て非なるもの、そんなのばかり食わされては舌もたまらない。参ってしまう。