2ペンスの希望

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邦題今昔

久しぶりにフランス映画「突然炎のごとく」を観た。
ヌーヴェルヴェーグ映画ファンの間では、カッコをつけて「ジュールとジム」と原題で呼ぶ人も多い。一緒に観た人たちと、しばし映画の原題と邦題を巡る話題になった。
原題に関係ない勝手なタイトルをつけやがって、と文句を言う人もいれば、いやいや、「ジュールとジム」では魅力に欠ける・そそられない、映画館に足を運ぶ気にはならぬ、「突然炎のごとく」は秀逸という意見もあった。
原題と邦訳は、昔から議論の的だった。
勝手にしやがれ(原題:À bout de souffle )」については前にも書いたことがある。
http://d.hatena.ne.jp/kobe-yama/20130305/1362435831
人物名そのままの原題を、邦訳で変えてヒットさせた映画は他にも多数ある。
例えば‥「俺たちに明日は無い(原題:BONNIE AND CLYDE )」、「明日に向かって撃て(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid )」などなど。
反対に、原題ではスルーされていた主人公の名前を邦題にして人気を博しシリーズ化した例で有名なのは、「ランボー(原題:First Blood )」だろう。それまでは、アル中で乱暴者の(?)フランス詩人としてしか知られてこなかった名を更新し、アメリカ人のマッチョ俳優を大スターにした。
題名次第で観客動員がまるっきり変わるというのは、興行界の常識だ。それぞれのお国柄、言葉のニュアンス、歴史的・文化的背景の違いを反映していて面白い。
最近は直訳タイトルが多くなって味気ない、という声も聞く。が、そうでもないとも思う。ちょっと前、「Gravity=重力」という原題を、「ゼロ・グラビティ(Zero Gravity)=無重力」と全く逆に変えた邦題があった。キャッチ―でそそる・語呂も良い、という賛同意見と、原題の深い意味・作者の意図を踏みにじる悪題、という悪態(非難・否定論)両方聞こえてきて面白かった。んっ?管理人はドチラ派かって。断固「ゼログラビティ」支持派。そして勿論「突然炎のごとく」派!
追記:アップロードして、気付いたのだが、「突然炎のごとく」Hatena Keywordでは、1994年仙頭・井筒組製作の「題名イタダキ コピペ」邦画の説明が表示されるが、
当ブログの「突然炎のごとく」は、1962年 F.トリュフォーの仏映画。 為念。