2ペンスの希望

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「人間に対する教養」

残念ながら、押井守さんの映画はほとんど見たことがない。
けど、本は面白く何冊も読んできた。今日は『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』【日経BP社 2013年10月 刊 電子書籍Kindle版もある】
映画に材を採って書かれた中間管理職向け「処世訓」ビジネス本。いかにもありがちな企画=本だ(凡打)。
組織というものは、軍隊だろうが企業だろうが、あるいは映画制作の現場であっても同じ原理で動いています。それは「人間関係」と「勝敗論」です。組織に身を置きながら、その組織を動かし、ある目的を遂げるには、この2つの要素を十分に理解していなければなりません。ではいかにして、組織というものを動かすノウハウを身につけたら良いのでしょうか。そのための必要十分条件とは何でしょうか。それは「人間に関する教養」であり、それ以外にはありません。」(注:太字強調は引用者)
映画も小説も漫画も、これすべて「他人の人生」を体験するための形式であるに過ぎません。危険を犯す(原文ママことなく、ノーリスクで他人を生きる形式が「虚構」なのです。映画は、他人を覗き見るための装置だと言ってもいいでしょう。「流行りもの」だけでなく、古今東西の「人間に対する教養」を効率よく獲得するためには 、レンタルビデオ屋さんのクラシックの棚が有効でしょう。」 (注:一部勝手に切り貼り引用)
こんな一節もあった。
単に感動して終わるだけであれば、映画の値打ちなんてたいしたものじゃありません。感動以上のものが、映画にはある。それが人生の判断の引き出しを増やしてくれるということです。
「映画を見る」というのは、実人生で使える教訓を導き出すような見方をすることです。ネットに書かれている映画評なんて、それこそ良かったか悪かったかしか書いてない。そういのは「感想文」にすぎません。
賛否両論、異見もあろう。けど、ビジネス指南本というより、「映画の正体」とは何か―押井流映画論として読めた。
めっけもん。拾い物。テキサス・ヒット!(死語?古語?ご興味の向きはググってどうぞ)