2ペンスの希望

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明るい ⇔ 暗い 渡邉本①

渡邉大輔(1982年生)さんの本『明るい映画、暗い映画 21世紀のスクリーン革命【2021.10.10. blueprint 刊】について書く。

f:id:kobe-yama:20211212230457j:plainインターネット、スマートフォンSNS、Zoom、VR、AR、GoPro……新たなテクノロジーによって21世紀の映画はどのように変容したのか? 「明るい画面」と「暗い画面」という見立てから、これからの映画の可能性を読み解く」と、出版社の広告は勇ましい。

デジタル化技術の進展に伴う映画・映像視聴環境の変化・変貌をふまえて、包括的に新しく映画史を書き換えようという若い著者の意気込みは認める。悪くはない。けど、正直 「粗雑に過ぎる」と感じた。

「明るい ⇔ 暗い」という、一見明快そうでありながら、具体・抽象・心象‥含意多く曖昧・多義的な言葉による二分法で映画百余年の歴史を語るのは、いささかならず「乱暴」ではなかろうか。荒っぽくて粗っぽい。悪いけれど刺さらなかった。

昔、「丁寧な仕事をするには、大雑把 と 小さっぱ 両方必要だよ」と教えられたことを思い出す。思い付きやご都合主義 イイとこ取りのつまみ食いでは遠くまでは行けない、ということだ。大胆にして細心に、という言葉もある。