2ペンスの希望

映画言論活動中です

埒外へ

公開前から評判の高かったドキュメンタリー映画を二本見てきた。

当ブログは個々の映画を論じる映画評が主目的ではないので、題名は控える。

一本は「部落問題」もう一本は「教科書検定問題」を扱う。「面白い」映画というわけではなかったけれど、ともに「気持ちの良い」映画だった。それなりに関心を持ってきたテーマなのだが、正直新しい知識・情報が盛り込まれた「目からウロコ」映画ではなかった。けど買い。

「部落」のほうは今 三十代半ばの監督が十数年前に作った「食肉センター」映画のオトシマエ映画。(なにやらわかりにくい書き方でゴメン‥‥えーい面倒くさいので昔の映画のタイトルを書いちゃう。2007『にくのひと』だ。←2013『ある精肉店のはなし』じゃないよ。縁あって管理人は十数年前に観ている。粗削りだが豪快で痛快な映画だったと記憶してる。)新作は気持ち良い映画だった。深くはなかったが、新しい映画の文体・スタイルをつくろうという意欲は新鮮、半ば以上成功していると思った。

ナレーションなし、座談とインタビューと数種類の朗読の音構成。そこに薄く音楽が乗る。

画面には多種多様・多彩な字幕・文字情報があふれる。黒板チョークの殴り書き(効果音カチャカチャ)、その書き起こし手書き文字、活字表示の文字スーパー、縦文字・横文字、黒バック・白バック・実写バック、人物紹介スーパーは避け、字幕文字のすべては「説明」ではなく「表現」として機能・昇華させようという意志を感じた。

何より、カメラ、照明、録音、編集、それぞれのパートがちゃんと仕事をしているのがキモチイイ。三時間超の二部構成だが、何とか息切れせずうまく見せ切ってる。歴史の過去に学んで ときほぐしながら、視線は現在から未来を見据えようとしている。若々しく初々しい。

もう一本「教科書」映画は、長くTVドキュメンタリーを作ってきたベテランディレクターの劇場公開作。年季の入ったプロの仕事。誠実で安定した作り。

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二本とも、公開しばらく経っての平日昼間のミニシアター。席の半分近くが埋まっていて上々。入りは悪くない。興行としては合格点だろう。ただ御多分に漏れず観客の年齢層は高かった。若い人の姿が見えない。

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「こちら側」の人だけでなく「あちら側」「向こう側」の人に届くための方策が求められる。埒内で満足するのでなく、埒外にどう進駐するか。そうでなければ埒が明かない。未来が拓けない。こうしたくくりの映画に共通する課題はこれだろう。何?んなことはわかってる。年寄りに言われたくないって。ごもっとも。