㉞は黒沢清 1955(S30)年7月 生。
上野は、初期の『地獄の警備員』(1992年) を採り上げ、
「細部の演出ぶり」を認め、「日常的なリアルさと、荒唐無稽な虚構性」「からっぽの無意味さのなかから、一つの虚構を作りあげた」(=映画?)と讃えている。(「ガロ」1992年8月号 「『地獄の警備員』は潔く倫理的な映画である」)
このちょっとまえ頃から、新人監督はピンク映画でデビューするのが一般的になっていた。日活ロマンポルノでも東映ポルノでもない。さらに格落ちだとされる成人映画館で公開される映画群だ。前回の井筒和幸しかり、高橋伴明も黒沢清も周防正行も万田邦敏も塩田明彦も‥さらにさらに若い瀬々敬久も‥皆 ピンク映画がスタートだ。
その後の歩みは人さまざま‥腕を磨いているのもあれば、首をかしげたくなるのもある。さてさて 黒沢さんはどうなのかって? ‥‥ う~ん、微妙。「からっぽの無意味さ」を貫徹し、純なる映画の力能を発揮しているのかどうか‥各自で見聞・検分 願うしかない。