2ペンスの希望

映画言論活動中です

映画監督?映画作家?

映画監督っていうのは職能なんだよ。つまり東宝の映画監督、松竹の映画監督みたくね。おれの時代、映画監督というのは映画会社に入社して演出部に配属されて助監督になって、試験を受けて監督へと昇進していくものなんだ。それ以外に『映画監督』になる方法はなかったんだ。だからおれは『映画作家』を名乗っているんだよ」大林監督はそう教えてくれた。映画監督は職能。一度事務所の整理をしているときに大林監督がはじめてつくったという名刺を見つけたことがある。そこでも肩書は「FILM MAKER」つまり映画作家となっていた。「MOVIE DIRECTER」ではないのだ。そしてそれは大林監督なりの「映画監督」への敬意の払いかただった。

大林宣彦の娘婿でマンガ家・イラストレータ森泉岳土の本『ぼくの大林宣彦クロニクル』で読んだ。

ただ、「家族の間では皆「お父さん」ではなく「監督」と呼んでいた」とも書いてあった。いつからどこでどうなったのか、それとも宗旨替えされたのだろうか? 時代が変わったのか‥意識が変わったのか‥。ちょっと訊いてみたくなっちゃった。まぁどっちでもいいけどさ。

1938ー2020