備忘録。
高崎卓馬という電通のコピーライターさんがFMラジオで小津映画について語っているのを「読んだ」。(ラジオを聞いたのではなく、ネット記事で見つけて「読んだ」だけ)
🔳小津映画の手ほどき 初級編(として勝手に転載)
「リズム」がある
小津作品って、「日本の心を描いた古き良き映画」とされていると思うんですよね。教科書的な感じと思いがちなんですけど、そんなことは全然ないんです。簡単に言うと変なんです。ものすごく変なんです。せりふの言い方を1つとっても、せりふの前はちょっと間があって、せりふのあとは必ずもうちょっと間があって。それが全員同じ間だったりして。
不思議なリズムを生んでるんですよね。リズムを作るっていうか、映像の見えないリズムみたいなものが生まれていて、それが僕らの体の中に入ってくる。
🔳映画の楽しみ方 処方箋(として勝手に転載)
上の句と下の句
映画とか小説って作者が意図してるか・してないか関係なく、できあがってアウトプットされた瞬間に別の体を持ってるもので、身体を獲得しちゃうと。シナリオを書いた人とか監督とか俳優とかが意図してなくてもそこには意味が現れちゃうっていう。たとえば主人公が立ってて、そのうしろで雲が流れているのは、意図しないものだけど、その雲の流れにこちらは何かを感じてしまう。その雲が流れていくっていうことに何かを感じたことはきっと意味があって、その意味が作品の中で連鎖していく。それが観ている人の中で残っていく。
正解とかないと思うんですよ。イマジネーションの遊びだと思うんです。上の句と下の句みたいな。映画や小説という上の句があって、それを受け取った人が下の句を作るっていう。その遊びが最近そういえばないなっていう気がするんですよね。思考の遊びっていうか、考えの遊びが実はいちばん面白いんじゃないかなって思ったんですよね。絵を見て「なんだこれ」って思って、この中のこの筆のタッチでこういう気持ちになって、……ほらね、みたいな。そういうのってすごく楽しいですよね。エンターテインメントを本当に楽しむっていうのは、もしかしたら、下の句をしっかりやるってことで面白くなるんじゃないかな。
【J-WAVE『BITS&BOBS TOKYO』2023/10/20 25:00~25:30 OA】
(太字強調は引用者)
連歌のことね。そうね、云われてみれば、ネット社会では「座の愉しみ」減っちゃたね゙。