2ペンスの希望

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亀田製菓さん 失礼!御免

文学の世界では、
純文学、中間小説、大衆小説や、ジュニア小説、児童文学などのジャンル分けがある。(今でも有効なのだろうか)それぞれにマーケットも読者も異なる。もっとも昨今は純文学はサッパリ、中間小説も大衆小説も昔のようには売れなくなったと聞く。かろうじてA賞やN賞といった新人賞を獲ったものが売れているようだ。それすら中身で売れているというより、受賞時のコメントや奇矯な振る舞いが話題になって、やっとこさ本が売れているようにも見える。事ほど左様に、物書き業界も厳しそうだ。
ひとり元気なのが、
ライトノベル」という分野らしい。
定義については諸説あるが、ここでは「十代半ばの中高生を主なターゲットに定め、挿絵・イラストなどを多用して、読みやすく書かれた小説」としておく。古くは赤川次郎新井素子などと云えばイメージの湧く御仁もおありだろう。昔言葉ならジュニア小説、版元ではジュヴナイルとかヤングアダルトとも呼ばれているらしい。最近の公立図書館では、「ヤングアダルト」とカテゴライズされて大きな棚が出来ている。桐野夏生乙一有川浩角田光代など、分野をはみ出した人気作家も続々出ている。桐野や桜庭一樹などN賞受賞作家も増えている。
映画の世界でも、
機材の軽便化、専門学校・大学の急増にともなって、学生映画、若手作家グループなどによる映画制作が盛んになった。(訊いた所では、関西にある老舗の現像所では、フィルム現像売上のかなりの部分が大学の映画学科からの発注で占められているということだ。以前はフィルム納品だったTVCF=テレビコマーシャルも、とっくの昔にビデオからデジタルメディアに変わってフィルムは無用になったとのことだ。これは余談。脱線)
小説の世界と同じように、
映画の世界でも若い世代の作り手たちがメジャーの世界でも活躍してほしいと切に願う。だがしかし、
ライトノベルでも懸念するのだが、難点もある。多くの読者を獲得するための方便なのだろうが、「わかり易さを求めてキャラクターの固定化が過ぎる」というのが難点其の一。書くこと以前に「物語の世界観・環境設定が出来上がっていて、そのデータベースを元手にストーリーをつむいでいくことが多いので、何やらプラスチック製のおもちゃを見せられているようで物足りない」これが難点其の二。喩えは悪いが、歯応えバリバリの堅焼煎餅ではなく、皆ハッピーターンみたい。(亀田製菓さん 失礼!御免)
若い人たちの映画が、「わかり易過ぎるキャラ設定」「お仕着せの世界観のなぞり・説明的消費」に終始しているかぎり、「大人」の観客の満足は得られないだろう。もっとも、最近の大人は、なべて「お子様化」していそうだから、どっちもどっちということになる。それなら何も言うことは無さそうだが‥。
けど、誰かさんみたいに「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」と静かに退場するつもりはない。しつこくネチョネチョ生きて行く。言いたいことを言う。