2ペンスの希望

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「根本から励ます」

藤谷治『こうして書いていく』からの引用シリーズ(=ラクチン手抜きバージョン)
まずは「文学と地面―まえがきにかえて」から。
文学は人間の脆さに関わる芸術である。文学は社会の発展に寄与しない(思想的な示唆を、若干与えようとすればできないこともない、という程度である)。人間を大衆として扱わない。文学は不特定多数に向けられているように見えながら、実際は一人ひとりの人間に向けて書かれている。(中略) 社会的な生命である人間に、社会から一時離れたところで、ひっそりと語られるささやきが文学である。そのささやきは、必ずしも人間を慰めない。心地よい言葉で人間を甘やかさない。しかしその究極の目的は、人間を根本から励ますことにある。通俗的であるか、純文学雑誌に掲載されたものか、ライトノベル推理小説文学賞受賞作品は、そんなことはどうだっていい。それが人間の心に根付き、その人間を根本から励ますものであれば、それはすべて文学であり、芸術である。」(太字は引用者) 
文学⇒映画と置き換えて、読み直してもらえると有り難い。