2ペンスの希望

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映画館再論

映画を初めて観たのが映画館ではなく、DVDやビデオだという世代が増えている。
スクリーンではなく、パソコンのモニター、はてはワンセグ画面で初体験ということか。「映画館至上主義者」が聞けば言語道断、噴飯モノなのだろうが、映画館で観られる映画が圧倒的に新作に限られているのだから、仕方なかろう。特集上映や「午前十時のナントカ」という催しも無くはない。それでも圧倒的に新作主義だ。少し前の映画はレンタルかセルで観るのがフツーになっている。家で観る方が気楽だし、お手軽この上ない、わざわざ交通費を使って決められた時間にで掛けていくなんて御免だ、という人を否定できない。それでも、家で一人(或いは友人・知人・家人らと共に)観るのと、映画館(或いはホールなど)に出かけていって、暗い館内で他人に囲まれ、一言も言葉を交わさないで、見知らぬ人々とスクリーンを眺め、別々に帰る「映画体験」は、決定的に異なることを忘れてはいけない、と思う。
暗くすること、「闇」の意味、洞窟としての映画館、匿名性・無名性、闇に抱かれ身を守られながらの覗き見‥‥「私」が溶けていく心地よさ、快感としての拘束性(規律、規制、束縛、‥)異質の世界との全身的な出会い、集中力と緊張感、‥‥、「映画館論」については、機会あればこれからもあれこれ考えてみたいと思っている。
ともあれ、「内湯」ばかりではなく、たまには、「外湯」銭湯や温泉に出かけてみるのも良かろう。もっとも先日そんな話をしていたら、今の若い人は最初っから家の中にあるのが当たり前、もはや「内湯」も「外湯」も知りませんよ、そう言われてしまった。