2ペンスの希望

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「観客」論

作ってはいけない映画はないけれど、
見せてはいけない映画はあるような気がしている。
作ったからには一人でも多くの人々に見てもらいたいという思いは分からないでもない。しかし、見せる側でセイブすべきではないか。観客からお金を取って見せるには忍びない映画があるのではなかろうか。出来不出来を言っているのではない。(出来不出来で言えば大昔から看板に偽りありなんて映画はゴマンとあった。)そうではない。
見せ方によって不幸になる映画がありそうな気がするのだ。作り手も、観客も、そして何より映画自身が。
80年代Vシネ盛んな頃「この映画は劇場公開作品です」というのが箔つけになる時代があった。劇場公開は、興行ではなく広告宣伝だった。お客ゼロでも立派な「劇場公開作品」。その後のビデオセル、レンタルに大きく影響した。誰も「観客」のことなど眼中になかった。
余計なお世話かもしれない。誰に見せたいのか、誰に見せることで(表現活動という)経済活動を真っ当したいのかがよく分からない映画が少なくない。
観客を求めていない映画は、少なくとも映画館では見せてはいけない。観てもいけない。保守反動といわれようと、この主張を変えるつもりはない。