2ペンスの希望

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サービス産業

全ての産業はサービス産業、映画もまたサービス産業だ。そういえば言い過ぎだろうか。いや、映画は産業なんかじゃない、文化であり藝術なんだという声がすぐにも聞こえてきそうだが、(そういう方は即退場で結構。お代も結構)  しかしである。
映画だって、何がしかの対価(お金には限らない)をとって誰かに見てもらってナンボ。
そうじゃなかろうか。だとすれば、経済的辻褄、顧客サービスの視点は不可欠だろう。
全ての表現の始発には自己慰安がある。そのことに間違いはない。しかし、出来たものを誰に見せたいのか・誰に届けたいのかについてはもっともっと自覚的になってもいいのではなかろうか。もちろん出来たものは一人でもたくさんの人に見てもらいたい、遠くまで行きたいというのが人情だろう。しかしである。幅広く全ての人に‥漫然とそう考えるのでなく、対象を具体的に絞り込んでみてはどうだろうか。
何処まで行くのか、誰に見せるのか、誰に届くことを目標にするのか、年配者(映画の黄金時代を知る人たち)向けなのか、若年層狙い(ネットに慣れ親しむ世代、ゲームに興じる年代)なのか、年配といっても映画をよく知る見巧者たちに見てもらいたいのか、専門家といわれる人たち(業界人スタッフや役者たち、メディア・批評家や研究者たち)なのか、そんな連中にはむしろ見てもらいたくないのか、次世代といっても、若者のすべてに‥なのか、新しい映画を志向する限られた層に向けてなのか、‥‥。
最初の観客は誰なのか、最後の観客は誰なのか、をイメージしてみることで戦略も戦術もより具体的になるのではないか。誰に向けてどんなサービスを提供できるのか。提供したいのか。闇雲、無手勝流を否定するわけではないが、NOを言うために能(脳)を使ってみてもよかろう。
完成がゴール、作ったらオシマイというのではかなわない。