2ペンスの希望

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87−06 爽快さ

珍しく褒めている。「題材の意表をつく異常さを、正攻法の描写の力がつねに平常心において、間断なく乗り越えていく。無化ではない。超えるのである。‥肩すかしを食う爽快さ、といえようか。すなわち、解き放たれる歓び、である。」とベタ褒めだ。褒められているのは大島渚の1987年新作。未見なので、山根評価の当否は不問とする。ただ、言いたいことはほんのりだが分かる気もする。「何を意味しているのか、この映画にどんな寓意が秘められているのか、といった数々の問いの、何と無効であろうことか」「題材も設定もテーマも、作家さえも」「すべてが越えられた後に残る輝き」「自由な映画だけが持つ爽やかさ・清清しさ」を挙げ、賞賛している。
【註:青字部分は、山根時評からの引用箇所】
拙管理人なりに翻案・解釈するとこうなる。
制作意図や主題、筋立てなど様々な意匠(衣装)を脱ぎ捨てた後の裸の輝き・肉体の躍動感・自在なリズム――それこそが映画の魅力なのだ。
う〜ん、少しは伝わっただろうか。(力不足はご容赦。宿題として持ち越すこととする)
今日の教訓は二つ。
その6「意匠(衣装)の奥の裸を愛でよ。」
その7「あざとい題材ほど、平常心・平熱で描け。」