2ペンスの希望

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これは映画ではない

これは映画ではない』2011年に作られ、2012年秋日本でも公開されたイラン映画のタイトルだ。公式HPに拠れば、監督は反体制活動を行ったとして2009年に逮捕され、裁判所から懲役6年と映画製作20年間禁止を言い渡されたとある。ということで、自らの映画の構想と軟禁生活の日常を映して、曰く「これは映画ではない」 謳い文句は「プロテスト・エンターテインメント」。映画を見ていないので評価はしない。どんな「映画」になっているかは知らない。ただ、映画を撮ることが禁止され、逮捕・懲役刑に処せられる国があるという事実、これだけは確かだ。
翻って、わが国。
資本と技術の進化で、誰でもが自由に(と言う言葉はビミューだが‥)映画が作れるようになっている。かくて、玉石混交どころか、果てしなき液状化は止まず。
アレも映画、コレも映画、老いも若きも。ネコも杓子も。しかし、見てくれは映画だが、中身はなっちゃぁいない。蓋をして送り返したくなるような代物が少なくない。
これは映画ではない」とハッキリ言いたい。出所がテレビやマンガだから駄目だといってるんじゃない。ご当地映画だとて、だからそれゆえにいけないとはいえないだろう。元がどうであれ、由来が何であれ、問題は映画としての出来不出来だ。ハードルが下がった分、楽して怠けることばかり達者になってはいけない。条件がゆるくなり、環境が甘くなれば、その分、自らに厳しくあらねば、ついつい流されてしまう。周りも優しすぎる。学芸会じゃないのだから、頑張ったから◯、努力したから◯とはいかないのだ。
年末にも書いたが、出来損ないには出来損ないだと言わねばならない。これは映画ではない!と。
そうでないと、いつまでたっても「これが映画だ」と言えるような新しい映画には出会えない
。だから今年も書く。