2ペンスの希望

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今何が‥立ち往生

商売柄、今何が受けそうか、どんなものがヒットしそうか、と聞かれることがある。大半は、それが分かれば苦労はないとかわすことにしているが、正直、観客は何も望んでいないのだと思う。ただ目の前に出された料理を黙って食うだけ、そう思っている。不味けりゃ二度と来ないし、美味けりゃリピーターにもなってくれる。それだけだ。だから、作り手は心を込めて作りたいものに腕を揮えばいい、そう思ってやってきた。作り手が、きちんと同時代を生きているならば、そして誠実に表現と向き合って腕を磨いてきたのなら、その度合いに応じて観客は生まれてくる、付いてくる。そうでなけりゃやりきれないし、立つ瀬がない。しかし、どうやら気付いてみたら「牧歌的な」時代は終わったようだ。
ここ数年で時代の気分・基調は大きく変わった。そう感じる。
あらゆる分野で「液状化」が進み、「未来」は、もしあるとしたら、という条件付きで語られるようになった。誰もが「このままではいけない、このままではいかない、いくはずがない」そう思いながらも、ハンドルは切らない。今持っているものを手放したくない想いもあってか、誰もが浮き足立ち、腰を浮かせながら「何も決められないで」「立ち往生している」。勿論自身も含めての話だ。中途半端に手元の明るさを捨てたくない気持ちが強い。映画だけのことではなかろうが、映画が一番気になる。
じゃあ、どうするのか。拙の考えは明日。(この項つづく)