2ペンスの希望

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旧作耽溺のすすめ

新作偏重より旧作耽溺をおすすめする。碌でもない新作映画に貴重な時間とお金をかけるより、山のようにある旧作を見る方がずっと楽しく、すこぶる健康的だ。とは言っても年配者は、ともすると「昔劇場で見た映画」を「懐かしさ」で見直すだけで「見逃した映画」「出会わなかった映画」には食指を伸ばさない。食わず嫌い。保守化傾向。これでは料簡が狭すぎる。もったいない。
映画に新しいか古いかは関係ない。面白いか面白くないか、それだけだ。
見ていない映画の中にもお宝は沢山埋もれている。そのためには一本でも多く見ることだ。(ただし断っておくが、宝石なんて僅か。砂場で砂金を探すようなもの。それでも、何十本かに一本、何百本に一本、おったまげるようなのに出くわすから、止められない)
映画好きを自認するアナタ、趣味欄に映画鑑賞と書くようなら、新作を追いかける合間に旧作に目を向けるべし、だ。二十世紀・映画が若かった頃、量産時代のスピード感とエネルギー溢れる旧作にこそ「新しい映画」がある。そんな話を過日或る映画人に話した。するとこんな答が返ってきた。「新作が駄目なのは当たり前。今の映画は、過剰に観客に擦り寄っておもねるようなのか、さもなくば、自分が作りたいから作るだけで見てくれる人のことなんか眼中にないようなのばっかり。昔の映画は観客に見て貰うための精進があり、観客の期待を上位に裏切る工夫があった。観客を視野に据えたキャッチボール。それがなければ劇場にも掛からなかった。今は何でもかんでも上映される。DVDも簡単・安価に出来る。ちょっと待てよ、これでは恥ずかしくて市場に出せないゼ、と待ったをかけるプロデューサーも居ない。かくして裸の王様=自称映画監督ばっかり増えて、品質劣化は眼を覆うばかり」