2ペンスの希望

映画言論活動中です

25語で

清水良典さんについては以前一度紹介したことがある【2013年2月7日】
なかなかの映画好きらしく、こんなことを書いている。
ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』という映画に、ティム・ロビンス扮する遣り手のハリウッドのプロデューサーが登場するのだが、彼のところにいろんな脚本家がストーリーのアイデアを売り込んでくる。そのとき彼は必ずこう要求するのである。
25語で
英語の25語だと話す時間でいえば三十秒くらいだろうか。その短さですらりとストーリーが言えて興味が引きつけられなければ失格である。枝葉の部分ではなく、基本的な幹の部分の設定がしっかり練れていなければ短時間で説明できない。分かりやすい簡単なプロットが良いという意味ではない。意表をついた、その先がもっと知りたくなるプロットでなければならないのである。ストーリーに、読者がつい呼ばれてしまう魅力があるかどうか。少なくともエンターテインメントの場合は、それが命運を左右する。

このくだり、載っているのは、『2週間で小説を書く!』【幻冬舎新書008】。何ともすさまじいタイトルだが、悪い本ではない。映画の構成・プロットを考える上でも参考になる。何よりハルキ以降の若い小説家の文体・スタイルについて書かれているので、拙のようなロートル=浦島太郎には有り難い。
そう云えば、橋本忍さんが同じようなエピソードを語っていたことを思い出した。【これも以前に書いた。2012年12月4日】
稲垣浩監督『無法松の一生』 =ある人力車夫の未亡人に対する風変わりな恋愛映画23文字
黒澤明監督『生きる』 =後、七十五日しか生きられない男
15文字
企画は短くシンプルでソソラレルものに限る これ鉄則だろう。